彼女のために

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ダウンを終え、部室へ戻ってくると恵が俺を待ち構えていた。 恵「翔?愛ちゃんって今日、早めに上がったんだよね?」 翔「あぁ。なんか、ばーちゃんの病院に行くとか言ってたわ。」 恵「そっかぁ……んー…困ったなぁ…」 恵のその手には愛梨のバッグ。 翔「…え?まさか、それ忘れていったとか?」 恵「そうなのよ。さすがにこれはマズいでしょ…」 それは勉強道具が入っているだろう通学用のバッグ。 まさかそんな大事バッグを忘れて帰るとはさすが天然だ。 翔「…アイツ…やっぱなんか抜けてるよな。」 恵「でも、これ忘れるのはちょっと…」 あんな出来事があった後だからだろうか。 やはりまだ本調子じゃないのかもしれない。 でないと、いくらあの愛梨でも通学用のバッグなんか忘れるはずがない。 翔「分かった。俺が帰りに届けてくる。」 愛梨の家は俺の通学路にある。 だから俺が持っていくのが妥当だろう。 恵「え?いいの?」 翔「つーか、最初っからそのつもりで俺んトコに持ってきたんだろ?」 恵「…アハハ…バレちゃったかー…」 病院へ行くと言っていたが、そんなに長居はしないはず。 恵から愛梨のバッグを引き受け、俺は愛梨の家へと向かうのだった。
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