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愛「えっと……どこだったかなぁ…」
私はそのやたらと広い病院内で迷子になっていた。
ここは私が住んでいる町の隣町にある『がんセンター』。
その敷地はかなり広く、方向音痴の私にとっては手に終えない場所。
私のお祖母ちゃんはこの『がんセンター』に入院している。
何年も前からガンを患っていて、入退院を繰り返しているのだけど、少し前、お祖母ちゃんはこの病院にまた戻ってきてしまった。
とはいえ、お祖母ちゃんは元気だ。
年もとっているからか、そのガンの進み具合も遅いらしい。
しかも、お祖母ちゃんはここでできたお友達と再会できるのを何故か楽しみにしていて、今回のこの入院さえも楽しんでいるとお母さんから聞いていた。
そんなお祖母ちゃんに会いに今日は部活を途中で切り上げて、私はここまで足を運んできたのだけど、毎度ながら迷子になるほどのその広い院内に途方に暮れていた。
愛「…やっぱり誰かに聞いてみよっと…」
私は近くにいた看護士さんを捕まえた。
看護士さんは私をナースステーションへと案内してくれた。
そこでお祖母ちゃんのいる部屋を確認してもらうと、なんと私がいたのは全然違う病棟。
そして、再度私は案内されたその病棟へと向かう。
愛「…東病棟……8階……」
ようやくその病棟に辿りついた私は8階のナースステーションでお祖母ちゃんのいる病室を確認。
すると看護士さんは丁寧にもその病室の近くまで案内してくれた。
看護士さんがそこを去った後、私はお祖母ちゃんの部屋をノックしようとした。
とその時、
……ガラガラ……
いきなりそのドアが開いた。
愛「…あわわわ……」
あまりに急な出来事だったので、私は思わず後ろへと跳び上がり、更に持っていたバッグを落としてしまった。
すると即座にそのドアから出てきた人がそれを拾い上げた。
老人「…大丈夫だったかね?」
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