驚愕の真実

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愛「…は…はいっ……」 年老いたその男性は、私に拾い上げたバッグをそっと渡してくれた。 愛「ありがとうございます」 お礼を言い、頭を下げた。 そして、その男性に視線を移すと、何故かその男性に懐かしさを感じた。 (…あれ……え……この人……どこかで……会ったコトがあるような…) 思い出そうとしても思い出せない。 でも、この人どこかで見たことがある。 すると、その男性に声を掛けられた。 老人「…愛梨…ちゃん…?」 この男性は私のことを知っているようだ。 愛「…えっと……そうです…けど……」 すると、その男性は優しい眼差しで私に微笑んだ。 その表情はやはり誰かに似ていた。 (やっぱり…誰かに…似てる……凄く似てる………誰だっけ…?) 思い出しそうなのに思い出せないその目の前の男性。 私はもどかしさを感じていた。 そんな私にその年老いた男性が言った。 老人「…チヨさんの……お孫さん……じゃな?」 お祖母ちゃんの病室から出てきたということはもちろんお祖母ちゃんの知り合いに違いない。 愛「…あの……どこかでお会いしたコト……ありましたっけ…?」 そう聞くと、 老人「…大きくなったな……」 ………ガラガラガラ…… その時、病室のドアが開いた。 愛母「…っ!…あっ……愛梨ちゃんっ…」 愛「……お母さん……」 お母さんの顔は驚くほど強張っていた。 こんなお母さんの表情なんて見たことがなかった私は驚いた。 愛「…お母さん…?」 愛母「…あ…愛梨ちゃん、遅かったわね。お祖母ちゃんが待ってるわよ?さっ……さ……早く入って……」 お母さんは私が見ても分かるほど動揺していた。 愛「…あ、えっとね、この方がバッグ拾ってくれたの。」 愛母「そ…そうなの?…良かったわねぇ…」 お母さんはその男性に軽く会釈をした。 そして、私に病室の中へ入るよう促す。 愛母「お祖母ちゃん待ってるから……」 その様子をその男性は目を細めてジッと見ていた。 (…やっぱり……誰かに似てる……でも思い出せないや…) 愛「…あ…あの…バッグ……ありがとうございました。」 お祖母ちゃんの知り合いならちゃんと挨拶はしておくべきだと思った私はその男性に再度頭を下げた。 すると、その人は何故か私を愛おしそうに見ながら、 老人「…愛梨ちゃん……また…」 (…えっ?また……って…?) 愛「…あの……」 愛母「愛梨ちゃん!ほらっ…早く…お祖母ちゃんのところへ…」 その男性が凄く気になった。 だけど――…… 後ろ髪を引かれながら、私はお母さんに促されるまま病室へと入っていった。
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