69人が本棚に入れています
本棚に追加
/605ページ
病室内の仕切りのカーテンを開けると、奥にはお祖母ちゃんがベッドの上に座っていて私を待っていた。
祖母「愛梨……来てくれたんだね…」
愛「うん。元気そうだね。」
お祖母ちゃんはとてもガンとは思えないほど元気。
家にいる時と何も変わりがない姿に私は安心した。
祖母「元気も元気で困ってるくらいだよ。入院してるのが不思議なくらいだからねぇ。」
愛「治療はどう?」
祖母「まぁ、いつものとおりだよ。心配かけてすまないねぇ。」
愛「ううん。元気で良かった。遅くなってごめんね?」
お祖母ちゃんは定期的に治療の為に入院している。
本治療中はあまり病院へは来ないようにと言われている。
だけど治療がひと段落つくと、お母さんからお見舞いに行っていいと許可がおりる。
そして今日はようやくその許可が下りたので早々に来てみたのだけど、元気そうで本当に良かった。
祖母「そういえば……愛梨。お母さんから聞いたけど、お休み中はお泊まりに行ってたんだってね?」
一瞬ドキリとした。
GW中のことを言っているのだろう。
事前に力が家に挨拶に行ったということもあり、お母さんは私が彼の家に泊まっていたことは知っている。
だけど、家族のみんなには合宿に行っていることにしてくれていて――
愛「…そ…そうなの……」
祖母「陸上のかい?大変だったねぇ…」
昔からお祖母ちゃんには隠し事をしたことがなかった私は、なんとなく心が痛んだ。
でも、彼の家に泊まっただなんて、いくら親が公認と言えどもなんとなく恥ずかしい。
しかもそこであんなえっちなコトをしていたとなると――
祖母「ん…愛梨?何かあったのかい?」
彼の帰省中、あまりにもいろいろあった。
もちろん彼と二人っきりで過ごす甘い時間もあったけれど、それをも上回るほど感情が突き動かされることもあったりして、まだ私の心は完全に穏やかではない。
愛「…そんなことないよ。あ…そうだ!」
ふと思い出した彼の家で行われたお茶席でのこと。
それは凄く聞きたいと思っていた。
でも、それを話すためには彼とのことを話さなければいけない。
いずれは力のことをちゃんと紹介しようと思っていたけれど━━
愛「…お祖母ちゃん……実はね、私……彼氏がいるんだ…」
最初のコメントを投稿しよう!