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愛「…お祖母ちゃん……なんでそんなこと…」
どうして彼の名前の由来まで知っているのか私は不思議だった。
祖母「そうかい……そうだったのかい……」
お祖母ちゃんは納得したかのように頷いていた。
愛「…お祖母ちゃん……?」
祖母「ん……愛梨は源さんのお孫さんに出逢って惹かれたってことなんだね。…愛梨……不思議なご縁だよ……これは…」
愛「ご縁?」
祖母「もしかしたら、愛梨は聞いているかもしれないけど、源さん……源蔵さんとはね……お祖母ちゃん、将来を誓い合った仲だったんだよ…」
愛「…将来を誓い合った…?」
祖母「…そう。だけど、いろいろ事情があってね。結局は結ばれなかった。でもね、お祖母ちゃんが初めて好きになった人は源さんで、お祖母ちゃんは源さんのことを今でも忘れたことはないよ…」
お祖母ちゃんは切なさそうな顔をして窓の向こうを眺めていた。
初恋のその人との日々を思い出し懐かしむように――
(お祖母ちゃん……力のお祖父ちゃんも同じなんだよ…)
年とってからもこれだけ思い出すほど想い合っていたっていうにどうして二人は結ばれなかったのだろうか。
そんなのって可哀そう過ぎる。
今の時代に出逢っていたら運命は変わっていたかもしれないと思うと私もまたせつなくなってしまった。
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