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あれから暫くの間、お祖母ちゃんと私は無言のまま、ただ外を眺めていた。
お祖母ちゃんが源さんを懐かしみ、永遠のその別れを受け入れるには少し時間が必要だった。
祖母「愛梨…心配かけてすまないね…」
愛「ううん。私こそごめんね…お祖母ちゃん泣かせちゃった…」
まさか、お祖母ちゃんを泣かせることになるなんて思ってもいなかった私は、少し後悔していた。
(やっぱり話すべきじゃなかったのかな……)
そんな私にお祖母ちゃんは、
祖母「でもね、お祖母ちゃん、源さんがそのお茶碗を大切に持っていてくれたこと、凄く嬉しいんだよ。だってそれが力君と愛梨を引き合わせてくれたのかもしれないからね。」
こんな偶然なんてあるのかなって思っていた。
でも、それは現実で必然だった。
きっと私たちは出逢う運命だった。
力も言っていた。
『だから離れられない』んだって。
愛「お祖母ちゃん、私ね、力とは絶対離れないよ?どんなことがあっても離れないって思ってる。だから……私達のこと……応援してくれる?」
絶対にお祖母ちゃんには認めてもらいたいって思っていた。
その気持ちで今日はお祖母ちゃんに会いにきたというのもある。
お祖母ちゃんと源さんの分まで私たちは幸せになりたい。
祖母「当たり前だよ。もう昔じゃないんだ。好き合ってるもの同士が結ばれないなんてあっていいはずがない。お祖母ちゃんは力君と愛梨のことを応援してるから…」
凄く嬉しい言葉だった。
愛「…うん。絶対に私、力と幸せになるよ!」
祖母「ふふ……そうかいそうかい。本当に愛梨は力君が好きなんだねぇ。ん、源さんのお孫さんだ……きっといい男に違いないね、力君は…」
愛「うん。すっごいいい男だよ。頭もいいし、運動神経抜群だし、身長だってこーんなに高いんだからっ」
そう言いながら私はカラダをめいいっぱい使って、力のコトをお祖母ちゃんに自慢した。
愛「あのお茶席での振舞いも凄かったんだよ。なんかね、もうその袴姿が格好良くって…」
祖母「もしかしたら力君は源さんの血が濃いのかもしれないね。源さんも身長が高かったし、頭もよくて運動もできた人だったんだよ。」
(え? そうなんだ……!?)
愛「じゃぁ、お祖母ちゃんの趣味と私の趣味って似てるのかも?」
祖母「そうかもねぇ…ふふ…」
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