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愛「ところで、お祖母ちゃん。どうして彼の名前……漢字でどう書くかっての分かったの?」
そのことが私は凄く気になっていた。
祖母「…実はね、源さんとお祖母ちゃんが別れる時に話していたことがあって…」
愛「話し合ってたことって?」
祖母「…ん……結局、あの頃は自分達に『チカラ』が無かったから別れざるを得なかった。だから、もし、それぞれ自分達の子供に男の子ができることがあれば『力』って名前にしようって言っててね。チカラがあって何事にも負けない強い男になれるようにって話してたんだよ。」
そんな由来があるとは思いもしなかったから驚いた。
でも、その名前の由来どおり、力は凄くチカラがある。
身体もだけど、精神的にも凄く強い人だ。
祖母「だけど、うちは愛梨も知ってるようにお父さんが婿養子。男の子は生まれなかった。子供はお母さんだけだったからその名前は付けられなかったんだけどね。」
うちのお母さんは一人っ子。
そして、お祖父ちゃんが結構厳格な人だったらしく、お母さんの結婚する相手はお見合いだとずっと言い張っていたらしい。
でも、お母さんが恋した人は偶然にも兄弟がたくさんいて、婿養子になってもいいと言ってくれたらしく、しかもお祖父ちゃんが気に入るほどの学歴と人の良さ。
そんなお父さんをお祖父ちゃんは気に入り、難なく結婚できたみたいだ。
祖母「けど、源さんがまさかその名前を孫に付けているとは……」
名付けるなら、お祖父さんの子供のはずだったのに、なぜ彼にその名前が付けられたのだろう。
事情はよく分からないけれど、それでも世代を超えて、名付けられたその彼が私の彼氏ということはやっぱり何か縁があるのかもしれない。
祖母「…まさか、愛梨と源さんの孫の力君がそんな仲だなんて……本当に驚いたよ。でも、お祖母ちゃん……凄く嬉しいよ……」
愛「私もね、力のお祖父さんとお祖母ちゃんが恋仲だったこと、嬉しいよ。二人が結ばれなかったのは残念だったけど。でも、私……思ったんだ。だからこそ、私達はお祖母ちゃんの為にも…力とは絶対に離れないって…」
祖母「…愛梨……」
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