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だから祐は最近学校に来ていなかったんだ。
そんなの学校どころじゃない。
しかも、あまり良くないってなると――…
祐からお母さんの具合を聞かされた私は、あまりのショックで声が出なくなってしまっていた。
祐「…愛梨は……どうしてここにいるの?」
祐もまた私がここにいるのを不思議に思ったのだろう。
それはそうかもしれない。
ここはがんセンターだし、しかもうちから離れた隣町にあるわけだし。
愛「私は……お祖母ちゃんのお見舞いで…」
祐「…えっ……お祖母さん?お祖母さんって…」
その時だった。
愛母「愛梨…っ…!」
そこには蒼褪めた顔をしたお母さんがいた。
そしてその後ろにはあの男性がいて――
祐祖父「また、どうしたものだ。祐と愛梨ちゃんが揃って……」
愛母「…大泉さん!」
笑顔の祐のお祖父さんとは反対にお母さんは強張った顔をしていた。
そんな二人を祐は驚いた顔で見ていた。
祐「…えっ?なんで…?……祖父さん……愛梨のコト……まさか…っ…」
祐のお祖父さんを見る表情はかなり鋭いものと化していた。
(…祐……?)
愛母「愛梨……あなた…いつからここに?」
私はさっきのお母さん達の話を思い出していた。
突然の祐の出現に驚き、そっちに気を取られてしまっていたけど、それは衝撃的な話を聞いてしまったわけで━━
愛「…お母さん……私、さっきの話……聞いちゃった……」
そのお母さんの呆然とした表情から私はそれがやはり事実であることを悟った。
でも私は――……
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