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そこには剣幕な祐の姿があった。
祐「祖父さん、俺には俺のやり方ってのがあるって言っただろ?…俺は……」
祐祖父「…祐……それならばあの件は関係なくグループのトップに……跡継ぎになってくれると言うんだなっ?」
(えっ……?グループのトップ?跡継ぎ?)
祐「…それはっ……」
祐祖父「…だろうな。それなら、私に任せておけば……」
祐「…でも……俺はそんなやり方は……」
そんな二人からお母さんは私を遠ざけようとしたのだろう。
私の手を引っ張り、私に耳打ちをした。
愛母「……愛梨……先に帰りなさい。帰ったら話すから……」
愛「でも……」
私は祐とお祖父さんのやりとりが凄く気になった。
(跡継ぎとかグループとか……もしかして、私……とんでもないことに巻き込まれてるの?)
愛母「愛梨……あなたには関係のないことだから。あなたは何も心配しなくていいから。だから……早く帰りなさい。」
そういうと、お母さんは握っていた私の手を離し、私の背中をそっと押した。
そのお母さんの表情は何かを決意したような目。
見たことのないようなそのお母さんの目に今の私は頷くしかなかった。
愛「…わかった……お母さん……私……先に帰るね…」
そう言って、私はその場を離れた。
……ピンポーン…………
1階につきました……
そのエレベーターのアナウンスに私は我に返った。
エレベーターを出ると、病院の中央入口が見えた。
そして、そこから病院を出た私はその敷地内にあるバス停を目指した。
愛「…あっ……あそこだ……」
そこから約50m先にあるバス停を見つけた私はそこへと足を向けた。
その時だった。
………タタタタタッ………
突然、誰かの駆け足音が背後から聞こえてきた。
「……待ってっ!…愛梨っ!」
その声は、さっきまで一緒にいたはずの祐だった。
愛「……祐………」
祐「……ごめ…ん……ハァ……ハァ……」
走り慣れてるはずの祐がこんなに息を乱すなんて、よほど無茶な走りをしてきたに違いない。
愛「…祐……どうして……」
祐「…さっきの話だけど……俺が説明させてもらっても…いいかな?」
祐のその目は何かを決意しているようだった。
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