運命

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祐「…冗談だよ…」 そう言って祐はすぐに笑った。 祐「愛梨の気持ちは分かってるから。まぁ、権力使って愛梨を手に入れることなんて簡単だけど、そんなことしたら一生愛梨に嫌われて生きていかなきゃいけないんだろうし…」 愛「…そんな……私…嫌いになんて…」 祐「じゃぁさ、俺があの日、愛梨を無理矢理抱いていたら……嫌いにならなかった?」 もし、あの時、祐が最後まであの行為を続けていたらどうなっていただろうか。 やっぱりショックだったと思う。 でも――… 愛「…それでも、私は祐のことは嫌いになんてならないよ……だって祐は私にとって特別だもん…」 これから力と生きていくとしても、祐との思い出はずっと消えない。 あの輝いていた日々を私の中から消し去ることなんてできそうもない。 祐「…まったく……どうしてそうやって誤解させるようなことを……。じゃぁさ、この間の……続きしてみる?」 愛「…っ……」 祐「嫌われないんだったら……してもいいよね?」 そういうと祐は私の頬にそっとその手を添えて妖しい瞳で私を覗き見る。 祐「力となんかより絶対相性いいと思うよ?…そしたらきっと俺から離れたくなくなるかもね…クスッ…」 そこには悪戯な笑みを浮かべる祐がいた。 愛「…っ…か…からかわ…ないで…」 祐「…ハハッ……まったく愛梨は面白いな。顔真っ赤だよ。」 愛「…っ……」 完全に私は祐に遊ばれている。 愛「…もうっ……祐なんか知らないっ…」 祐「ごめんごめん……冗談過ぎたよ。ん……でも、元気になって良かった…」 それは祐の優しさ。 祐は私を元気づけようとしてくれていた。
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