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部活を終えた俺は帰路についていた。
翔「あぁ……疲れた……」
普通の日なら帰り道、愛梨がいる。
だが、彼女は今日、病院にお見舞いに行ったということで俺は一人その道を自転車でいく――
いつもの信号待ちはやたら長く感じる。
あいつと一緒に跳躍の練習ができるのもあと数か月。
それは俺にとっては大事な時間。
もう終わっていたはずの俺の跳躍人生を取り戻してくれた愛梨。
跳躍の素晴らしさを思い出させてくれた彼女に俺ができるのは最高の跳躍を見せること。
必ず俺は今年もインターハイで優勝してみせる。
そして、昨年よりも確実にレベルアップしてきた愛梨のその跳躍も俺がいるうちに全国で花開かせてやりたい。
今度は俺が彼女に跳躍の素晴らしさを教える番だ。
信号が青になった――…
翔「さてと……」
もう日も暮れてから数時間経つ。
愛梨は家に帰っているだろうか。
翔「まったく、こんなもの忘れるとか意味不明だな…」
自転車の前かごには愛梨のバッグ。
いつもよりもかごが重いせいでハンドルが取られそうになりながらもそれを持って俺は愛梨の家へと向かった。
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