兄の思い

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大泉グループという大きな権力がどれほどのものかなんて俺にだって分かる。 だが、だからといってその事実を本人に黙っていていい訳がない。 いくらその事実を隠していても、いずれ愛梨はその事実を知ることになる。 その時まで隠し通せたとしても、その時になってそれを言えば、愛梨はどれだけほどショックを受けるだろうか。 知らせずに何とかしようと足掻いているのかもしれない。 けれど、タイムリミットがもうそこまで迫ってきている。 確実に……大泉グループは動き始めている。 翔「藤沢はかなりのリスク背負ってるぞ?しかも、今の時点で考えると勝ち目なんてねーよ。」 それが現実だと俺は思う。 いくら藤沢が野球を辞めてこれから来年のインターハイに向けてその身を削ったとしても、今の大泉にはまず勝てない。 それくらい坂田の築き上げた俺たちの学校の陸上部のメニューは計算され徹底されているもの。 それをもう大泉は一年以上熟してきた。 大泉は今年でさえ敵なしと言われている。 そんな大泉に対抗するなんてあまりにも無謀過ぎる。 例えそれが愛する人の為だとしても―― 洋「俺も親もさ、なんとかしねーといけないって思ってんだ。けど、祐の祖父さんに何度話しても…」 洋太の顔には悔しさが滲み出ていた。
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