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翔「…愛梨……」
自転車から降りた愛梨は自転車を押しながらやってくる。
愛「え……あれ?先輩……どうしたんですか?えっ……お兄ちゃん…!?」
ちょうど俺に隠れて死角にいた兄貴に気づいた愛梨は呆然としていた。
俺と兄貴がこうして一緒にいる姿に驚いたようだ。
洋「…ん……おかえり。遅かったな?…あぁ…ほらっ…」
そういうと、洋太は俺が持ってきてやったバッグを彼女に見せた。
愛「…え…それ…」
洋「おまえの忘れ物。河合がわざわざ持ってきてくれたんだわ。」
愛「…うそっ……わわわっ……す…すみませんっ……あれ?けど、それどこにありました?」
教室から部室に持ってきたことすらも忘れたのだろうか。
相変わらずの天然ぶりに俺は思わず笑ってしまう。
翔「…ったく……おまえってヤツは。部室だよ。恵が気づいてさ、持ってけって言うから持ってきてやったんだよ。」
その傍で洋太もまた腹を抱えて笑っている。
愛「…もうっ…お兄ちゃん…っ!笑わないでよっ…」
洋「…クククッ……」
……プルルルル……
(電話音)
どこからか、電話音が聞こえてくる――…
愛「…電話?」
洋「あ……うちだ。愛梨……俺、とるな?それと、河合、妹が悪かったな。ん、さんきゅーな?」
そう言うと、洋太は家の中へと入っていった。
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