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そんな俺達の様子を伺っていた愛梨。
愛「…先輩……いつからお兄ちゃんと仲良くなったんですか?」
そのいつもと違う俺と兄貴のやりとりに愛梨が不思議そうな顔で頭を傾げていた。
翔「…あぁ…さっきからな……つーか、おまえさ、フツーあのバッグは忘れねーだろ?教科書入ってんじゃねーかよ。忘れちゃいけねーだろっ」
愛「…えと…あはは……けど、今日は何だかバタバタしてたし思わず…」
百歩譲って忙しかったからだとしても、まさかいつも持っているバッグがないことに気づかないとは。
部活の道具は忘れることはあるにしても……さすがは天然だ。
翔「まぁいいや。で、ばーちゃんの様子はどうだったんだよ?」
愛「あ…うん……元気そうでした。」
元気という割に彼女の顔は少し冴えないように見えた。
けれど、それ以上突っ込んだ話など俺にできるわけがない。
翔「そうか。けど遅かったよな?ん?どこまで行ってたんだ?」
愛「…あっ……隣町の……」
その時だった。
愛梨の家の玄関のドアが勢いよく開かれる音がした。
洋太が息を切らしながら俺たちの元へやってくる。
愛「ど…どうしたの?お兄ちゃんっ…」
血相を抱える洋太の顔━━
翔「…洋太っ?…なんかあったのか?」
洋「…悪いっ。今説明してる時間はねーんだ。おまえらすぐに家に入ってくれっ」
翔「えっ?俺も?」
その瞬間、通りを物凄いスピードで走ってくる車の音が聞こえた。
そして、その車はヘッドライトの光を俺たちを照らして━━
………ブーンッ………キキキーー……
翔「っ!…愛梨っ…危ないっ!」
俺はとっさにその車から離れた壁際へと愛梨を寄せた。
翔「っぶねーな!!!」
そして、その車は何故か俺達の目の前で留まって――
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