兄の思い

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その瞬間、愛梨が崩れ落ちそうになる。 翔「…愛梨っ!?」 瞬時に俺は彼女を抱きとめた。 愛「……危篤?…祐が……?だってさっきまで一緒に……」 どういうことなのだろうか。 今日は愛梨は祖母ちゃんの見舞いに行っていたはず。 それなのに一緒だったというのは一体―― (つか、危篤って……それって命に関わる事態っていうことだよな?) 翔「おいっ…おまえ!大泉の執事とか言ったな?」 小笠原「はい。」 翔「俺も同行していいか?俺はおまえんとこの坊ちゃんと同じ部の先輩なんだけどさ。一緒に行っても……構わねーよな?」 洋「…ちょっ……河合っ!」 翔「命に関わる時だってのにウダウダ言ってられっかよ。いくぞ!愛梨。」 俺は今にも倒れそうな彼女を抱き上げた。 愛「…ぁ…えっ…」 翔「…行くしか…ねーだろっ?」 愛梨は驚いたようだった。 だが、ゆっくりと頷いて――… 翔「案内してくれよ。大泉のいるところにさ…」 小笠原は俺に頭を下げると、すぐに運転手に合図を送った。 そして、その車のドアが開かれて―― 翔「…洋太……着いたら電話すっから…」 洋「…ちょ……河合……」 洋太は渋っているが俺にとってはこれが今ベストだと思った。 翔「俺はさ、後悔したくねーんだよ。それにコイツの悲しむ姿なんて見たくねーからさ。」 なんやかんや言っても愛梨にとって大泉は特別な存在というのを俺は知っている。 そんな特別な存在の人が命に関わるのなら行かせざるをえない。 それに愛梨もこんなに動揺しているというのに、このまま放っておくわけにはいかない。 洋「…分かった……任せる…」 そして俺達は大泉の元へと向かったのだが――……
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