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俺はその駅を後にしタクシーに乗り込んだ。
力「大泉総合病院までお願いします。」
タクシーが走り出すと俺は携帯を取り出した。
そして電話をかける。
コール1回終わらないうちにその主の声が聞こえた。
力「…あっ…俺。今タクシー乗った。そうだな。あと10分もすれば着くと思う。……え…あぁ……で、水月は?……ん……そうか…」
電話を終えた俺は体をシートへと沈めた。
そしてその窓の外の景色を俺は眺めていた。
(……祐………なんでこんなコトに……)
それから暫くして目的地に着いた。
力「ありがとうございました。」
タクシーの運転手に礼を言った俺は、急いでその回転灯の光る夜間救急の入口へと向かった。
入口受付には守衛がいた。
俺はその受付の窓をノックした。
すぐに守衛は窓を開けた。
力「…大泉祐の病室は…?」
俺が来るということを既に聞いていたのだろうか。
すぐに守衛は対応してくれた。
守衛「…ご子息の友人……藤沢様ですね?」
力「はい。」
守衛「ご子息は特別室にいるのだが場所が分かりづらい。ん…関係者に連絡するから。君は中に入ったエレベーターの前で待っててくれないか?」
そう言われた俺は急いでそのエレベーターの元へと向かった。
エレベーターはそこからそんなには離れていない場所にあった。
俺はその関係者が来るのを今か今かと待っていた。
暫くすると、目の前のエレベーターの数字が動きだした。
それは最上階から降りてきているようだ。
おそらく特別室は最上階にある。
最新の高速エレベーターなのか、示していたその数字はあっという間に『1』になった。
そして、エレベーターのドアが開いた―――
目の前には黒いスーツを来た50歳くらいの中年男性が立っていた。
『…君が…祐様の…?』
力「はい。藤沢です。」
そういうと、その男は俺をそのエレベーターへと案内する。
男『こちらへ…』
俺はエレベーターへと足を踏み入れた。
エレベーターのドアが閉まるとその男は話し始めた。
小笠原『私は祐様の執事の小笠原と申します。あなたは祐様の幼なじみの『力様』ですね?』
どうやら、俺のことは既に知っていたようだ。
小笠原『ご足労いただき有難うございます。』
力「いえ……で、祐は……」
その時、そのエレベーターが最上階に到着した。
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