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力「祐は……大丈夫なんだろうな?」 小笠原「私の口からは……今は何とも言えません。ただ主治医の話では今晩が山だと…」 まさかそこまで危険な状態とは思っていなかった。 俺は居ても立ってもいられなくなり、小笠原を押し退けると、祐のいるだろうその病室へと向かった。 真「力っ!待て……今は入るなっ!」 真は急いで俺を止めにかかった。 力「何でだよっ!」 真「今は……おまえじゃダメなんだって…」 力「…どういう…ことだ?」 すると、近くのソファーで俺達を冷静に見ていた西野が、 由「何の為に愛がついてると思ってんだよ?」 (何の為って……ついていてやりたいって思ってるからじゃ?) 小笠原「祐様は愛梨様の名前をしきりに呼んでおられました。今は愛梨様に頼るしかないのです。ですから今は……」 俺はその病室のドアを見つめた。 祐にとって水月は誰よりも心の内を占めている存在。 生死を彷徨いながらも想うのは水月。 アイツを助けられるのはやっぱり水月しかいないのだろうか。 今頃、彼女はただ一心に祐の回復を祈っているだろう。 そして祐もまた意識がないとしても彼女が傍にいるという安心感をどこかで感じているのかもしれない。 そんなところに俺は入っていってはいけない。 翔「…いいんじゃね?藤沢が病室に入ったってさ。まだ大泉の状況見てねーだろ?それに今はどうあれ、藤沢は大泉の親友だったわけだし?愛梨のヤツだって今は傍に藤沢がいた方がいいと俺は思うけど……」 力「…河合……」 翔「それにさぁ、俺もそういうつもりで藤沢を呼べって言ったんだわ。なのに中に入れねーって何だよ?執事さんよー」 そう言って河合は小笠原に視線を流した。 小笠原「しかし……」 翔「あのさぁ、おまえんトコの坊ちゃんも大変かもしんねーけどさ、うちの大事な部員も精神的ダメージ大きいんだよな。心のケアってヤツ?命は大事だよ。けどさ、ちょっと愛梨も休ませてやってくれよ?じゃねーと、俺、愛梨連れて帰るぞ?」 そう言って河合がその場を立ち上がる。 すると、小笠原はさすがに焦ったのか、 小笠原「…承知…いたしました。それではこちらへ…」 河合が俺に目配せをする。 まさか河合がこんなにもいいヤツだとは俺は思っていなかったから驚いた。 (…水月の言うとおりのヤツだな……) 俺は河合に頭を下げると小笠原の待つ病室のドアの方へと向かった。 小笠原「私は外におります。何かあればお声をかけてください。」 そして、そのドアが小笠原の手によって開かれて――
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