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俺は祐と水月がいるだろうその病室へと足を踏み入れた。 目の前にあるのは考えられないような豪華な造りの部屋。 ホテルのスイートルームのようなその室内に俺は圧倒されてしまう。 やたら広い空間のその病室には何故か豪華なシャンデリア、大理石で造られただろうテーブル、そしてその周りには革製のソファーが構えられていた。 そして何より凄いのはこの病室内にある最新鋭と思われる装置の数々。 更に外部からの不審者の侵入対策なのか、待合やロビーなどが映し出されているモニターが数台設置されていた。 (…ちょ…ここは病院なのか!?) そして、ようやく見つけ出すことができた祐のいるだろう場所―― カーテン越しに人影が感じられる。 俺はゆっくりとそこへと向かっていく。 カーテンの隙間から彼女の姿が見えた。 彼女は目を閉じて祈っているようだ。 そして祐のその手を握りしめていて――… 力「…水月……」 俺はカーテン越しに彼女を呼んだ。 すると、彼女は俺の方へと顔を向けた。 愛「……力……?」 彼女は不安そうな顔をしていた。 俺はそのカーテンの中へと入ると、彼女の横にある椅子に腰掛け彼女を抱きしめた。 愛「…どうしよう……力……祐が……どうし…ょ……」 ずっと堪えていたのだろう。 俺の腕の中で水月がそのカラダを震わせながら泣きじゃくる。 力「…大丈夫だ……」 俺は彼女を落ち着かせようと、彼女の背中を擦った。 愛「…私のせい……私の…っ……祐は……私がっ……私が……」 力「何言ってんだよ。おまえのせいのわけねーだろ。」 愛「…ううん…っ……私のせいで……祐は……祐が死ん……」 力「…水月…っ……」 力「おまえのせいなんかじゃねぇよ。つーか、縁起でもないこと口に出すな!信じろ。祐は絶対大丈夫だ。」 祐が死ぬわけなんかない。 ほんの二週間前まであんなにピンピンしてたヤツがそんなあっさり逝くわけがない。 水月を返してもらう為に俺をインターハイで倒すとかほざいて勝負を吹っかけてきた強気の祐。 水月への強い想いを簡単に手離すように逝くわけなんかない。 力「…祐っ!ふざけんなよ。いつまで寝てんだよっ」 そう言って祐の方へと視線を動かした瞬間、俺はその光景に固まってしまった。 その顔にはアザやら傷の痕、そして頭には包帯が巻かれていて―― 顔色は恐ろしいほど血の気が引いていた。 それはあの王子のような祐とは決して思えない程で―― 力「…どういう……ことだ?」 茫然とする俺に彼女が言った。 愛「…祐ね……撃たれたの…」
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