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ゾクリと身震いがした。
(…祐が……撃たれた……?)
力「…どこ……撃たれたんだ?」
愛「…胸と…足…」
力「…えっ……」
俺は祐へと一歩近づいた。
足はさっき入ってきた時に気づいていた。
吊り下げられているその足は骨折でもしてるのかもしれないと思っていた。
だが、まさか胸までも負傷しているとは――
俺は祐に被されていた布団をそっと捲った。
すると、祐の胸廻りには包帯がグルグルと巻かれていた。
出血が酷かったのだろう。
その包帯から少し血が滲み出ているのが確認できた。
そして、体中にいろいろな装置がつけられていて―――
力「……酷過ぎだろっ……こんな……」
俺はたまらなくなって思わず祐から顔を背けた。
愛「急所は……外れてたらしいの。でも、出血が酷かったらしくて……」
どうして祐がこんな目に合わないといけないのだろうか。
力「…んでっ、なんで祐は大泉グループの後継者なんだよっ…」
もし祐が大泉グループの跡取りじゃなければ、きっとこんな不幸なことは起こらなかっただろう。
祐は俺に言っていた。
『ホントはしたいことがある』と。
アイツは大泉グループの跡継ぎになんて何の魅力も感じていなかった。
祖父さん同士が決めたその婚約者である水月。
アイツはただ水月が欲しかっただけだ。
愛「…私の……せい……祐は私のこと……守ろうとして…」
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