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あの日から、俺は絶対に水月を離さないと誓った。 しかし、俺達の目の前には『遠距離』という難関が待ち構えていた。 いつも一緒にいたはずの水月が傍にいない淋しさは半端ない。 俺達は毎日のように連絡を取り合った。 それまで当たり前だと思っていたようなことが、どれだけ俺達にとって大切なことだったのか。 離れてみて気づかされた俺達は更に二人の『絆』を深めていった。 彼女との時間が欲しくて監督に無理も言った。 その為にはその日までにそれ相応の努力をし結果を出しておかないといけない。 そしてようやく得た帰省の許可。 俺は少しでも彼女と繋がっていたくて、何度も彼女を抱いた。 何も知らなかった彼女が俺の腕の中でどんどん俺の色に染まっていく―― 祐ではなく、俺を見つめてくれるようになった水月に俺はようやく、水月の男としての自信がついたところだった。 そして、この前のGW、俺の目指す未来に、一緒にいたいと言ってくれた彼女。 俺はこれからも彼女を絶対に離さないということを再度誓った。 そして、必ず俺の手で彼女を幸せにするんだと―― 高校を卒業したら、俺は彼女にちゃんと話をしようと思っていた。 そのつもりでGWの始まる前日、水月の母親にも挨拶をしてきた。 『僕は絶対に彼女を泣かせるようなことはしません。責任をもった行動をします。ですからこの休みを一緒に過ごさせて下さい。』 そう頭を下げた俺に水月の母さんは快くOKをくれ、水月の用意していたバッグを俺に渡してくれた。 本当言うと、水月の親にはまだ言いたいことがあった。 『これからのこともきちんと考えている』ということ。 けれど、まだ半人前の俺が、そんな大それたことを言えるはずもなく―― そんな矢先に祐に吹っ掛けられたあの勝負。 祐が今でも水月を想っているということを嫌というほど再認識させられた。 祐は俺なんかよりももっと前から水月を想っていた。 俺よりも先に水月と出逢い、お互いが惹かれ合っていたという事実を俺は誰よりも知っている。 しかし今、水月は俺を選んでくれて、彼女もまた俺との未来を考えてくれている。 だからこそ、俺はどんなことをしてでも彼女を守らなければならないし、守りたい。 たとえ、水月が大泉グループの後継者、祐の婚約者であろうとも、絶対に譲るわけにはいかない。 力「…水月。俺は絶対におまえを誰にも渡さない。たとえおまえがアイツの許婚だったとしても…」 そして、ベッドに横たわるに祐にも視線を移して―― (…祐……俺はコイツにスゲー惚れちまったんだ。どんなことがあっても…もう離せねぇんだ…) 愛「…力……祐は理解ってくれたんだよ?」 力「…えっ?」 愛「私ね、祐に言ったんだ。私、やっぱり力が好きだし、そんなお祖父ちゃん同士の決めた結婚なんてしたくないって。そしたら……分かってくれて…」   力「…分かってくれた…?」 愛「祐ね、私と力とのこと……認めてくれたんだよ?だからお祖父さんと話すって…」
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