必然の出逢い

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その額に俺は唖然とした。 (…お……億…!!?マジかよっ…) とうことは、その億単位の指輪が今もまだ水月の家に眠っているということになる。 彼女がそのお守りを祐に返していなければの話ではあるが。 (あいつ……あのお守り…まだ持ってんだろうか……) 力「返すように言った方が……いいよな?」 こんな時とはいえ、どっちにしたってそんなものを水月に持たせておくわけにはいかない。 小笠原「いえ。まだ婚約を解消されたという話を社長から伺ってはおりませんので。それに今もまだ愛梨様は祐様の婚約者には変わりありませんし…」 そういうことなら余計にそんなものは返してもらわないと困る。 そんなワケの分からないものをいつまでも持たせていたら今後も何かと面倒なことになりそうだ。 小笠原「社長が祐様に許嫁がいるということを伝えられたのは高校に入ってからでした。もちろん祐様は自分が大泉グループの跡取りだということも知りませんでしたし、父親ですら継いでいないそのグループを何故自分が継がなければならないのかと、なかなかその腰を上げては下さりませんでした。しかし、愛梨様との婚約の話を持ち出したところ、祐様は『考えさせて欲しい』と言い出しまして……」 力「それって……確か昨年末とかって聞いたけど?」 小笠原「そうですね。確かあれは年末も押し迫った頃でした。」 あの頃はというと、俺と水月はようやく一線を越え、お互いを信じ合えるようになった頃だ。 そんな頃にようやくそんな話が上がっていたとは━━ 小笠原「祐様は愛梨様が力様に想いを寄せていることを分かっておりましたから本当に悩んでおられました。もちろん、我がグループのチカラをもってかかると力様と愛梨様を引き裂くことなど容易でしたが……」 力「引き裂くって……おまえら…そのつもりだったのかよ…」 小笠原「社長はそのおつもりでした。しかし祐様はそれをお止めになりました。『自分のやり方』で愛梨様を連れてくるからと。ヘタに手を出すと後継者の話は絶対に引き受けないとまで言い出しまして…」 力「じゃぁ、アイツが俺とあんなカタチで勝負をしようとしたのは……」 小笠原「祐様は権力を使うということにかなり抵抗があったようです。やはりそこは祐様らしいのです。力様と正々堂々と勝負されようとしたのです。もちろん祐様はその勝負に自信がお有りでしたから力様にそれを持ちかけたのでしょうが……」 祐らしいと思った。 あんな挑発的な言葉で俺をその舞台へと引っ張りだそうとした祐。 何もあんな言い方して俺を怒らさなくても場合によっちゃ勝負してやるというのに。 祐もまた父親同様、権力を使うということに抵抗があったのは事実のようだ。 放っておいても水月が手に入るとしても、やはり水月や俺に思うところがあったのだろう。 だからこそ勝負を吹っ掛けてきて━━
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