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祐が水月のことをどれだけ想っていたのか俺だって分かる。
だからこそ俺も祐のその決断が疑問だった。
後継者になるのを躊躇っていた祐。
もし引き受けるのならば、それは水月と一緒になることが前提だった。
それを諦めたのにどうして後継者になることを決めたのか。
力「あのさ、さっき水月から聞いたんだけど、どうして祐は水月の為に撃たれたんだ?アイツ、凄い自分のこと責めてんだよ。本当に祐が撃たれたのって、アイツ絡みなわけ?」
小笠原「本当です。いえ、直接関係ないといえばそうなのですが。確かに祐様が愛梨様をお守りしようとしたのは事実です。」
力「は?直接関係ねーなら、水月のせいじゃねーよな?」
直接を守ったのならともかく、ワケの分からない原因であんなにも彼女が苦しんでいるのなら俺は何とかしてやりたい。
小笠原「祐様が社長とお話をされた後、祐様が後継者を引き受けたという情報がグループ内に一気に流れました。内密にも関わらずです。もちろん、祐様が後継者になることを反対していた抵抗勢力にもその情報がいくことは分かっておりましたので、私もかなり警戒はしておりました。しかし、祐様はあの日も車で自宅まで帰ることを拒否されまして……」
力「拒否?」
小笠原「えぇ。以前からそういった不穏な動きがございましたので、社長からも祐様の周りには十分注意を払うように言われていたのです。ですが、あの日もいつもと同様、電車で帰るからと私達を撒いてお一人で自宅へ帰られたのです。この件に関しては奥様にも相談したのですが、奥様は祐様は嫌でも高校を出たらグループの後継者としての道を歩まなければならいかもしれないからと今は普通の高校生活を送らせてやって欲しいと、本人が望まない限りは送り迎えは不要だと私どもに言われまして……」
そういえば、俺が水月の学校へ行った時も祐は普通に自転車通学をしていた。
そして水月から、祐は途中から電車で隣町の自宅へ向かうと。
小笠原「それでも、こんな時ですし、やはり何かあってはと、慌てて祐様の後を追いました。しかし、祐様を見つけた時は既に遅く……」
力「…ヤられた後だったってのか?」
小笠原「もちろん祐様をヤッた輩は捕まえ、何があったのかを聞いた後すぐに処分しましたが…」
力「…っ……」
俺は思わず言葉を失ってしまった。
(…しょ…処分って……こういうグループの処分って……ハンパな処分じゃねーんだろうな……ヘタしたら……)
そう思うと、俺は身震いがした。
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