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小笠原「祐様はあぁ見えてお強い方です。よほどのコトがない限り、あんなことはないと思っていました。しかし、愛梨様のお名前がその輩から出たようで……冷静さを失ったようです。」
力「水月の?」
小笠原「はい。その輩ももちろん祐様の婚約者が愛梨様だということを知っておりました。ですから、祐様が後継者の件を了解された直後、すぐに手を打とうと愛梨様の元へ数名の部下を送ったようで……」
力「…水月の元にって…?」
小笠原「愛梨様の様子を陰からカメラで撮影した動画を祐様に見せて脅しをかけたようです。」
力「…何て…?」
小笠原「婚約者が酷い目に合わされたくなかったら跡継ぎの件は即撤回しろと…」
力「…ちょ……おまえ、水月に何もなかったんだろうなっ!」
俺は小笠原に詰め寄った。
小笠原「大丈夫です。愛梨様には指一本触れてはおりません。ただ……愛梨様を庇う為に祐様は…」
悔やんでも悔やみきれないような表情を小笠原は浮かべた。
小笠原「祐様は……その輩に愛梨様との婚約を解消したことを言ったそうです。もう婚約者でも何でもない関係ない人だと。しかし、その輩は信じようとしませんでした。何せ、その輩は私同様、祐様に近い存在でしたから。どれだけ祐様が愛梨様を想っていたのかを知っていましたので…」
力「祐に近い存在って……?」
小笠原「祐様の親族でして……」
血の繋がりのあるヤツにそんなことを言われるなんて思いもしなかっただろう。
そして手をかけられるなんて━━
力「…で、そいつが祐を?」
小笠原「はい。本当に愛梨様と関係がないのなら、もうその足がどうなろうと問題がないだろうと。愛梨様を想い走り続けていたその足を迷うことなく撃ったのです。」
そんな惨いことがあってもいいのだろうか。
その足を……その走りを奪われるということは水月への想いを断ち切られることと一緒。
どんな想いで祐は――…
力「なんとか……ならなかったのかよ!?」
小笠原「…一足違いでした。私達が駆けつけた時には祐様は跪いた状態で。それなのに祐様は私達に目掛けて発砲しようと銃口を向けたその輩に向かって……」
力「…祐は…撃たれた…?」
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