男のケジメ

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力「小笠原がさ、妹が来たらおまえを休ませろってさ。祐が心配なのは分かる。けどな、おまえが傍で泣いてたり疲れて倒れでもしたら、祐だって嬉しくなんかねーと思うしゆっくり休めねーと思うんだ。だからおまえは少し休め。な?」 幸ちゃんがいてくれるのならそうしようと思った。 愛「…ん…そうだね…」 それに力の言うとおり、こんなに泣いてばかりの私が傍にいたってどうにもならない。 (妹の幸ちゃんがいてくれるんだったら私は少し離れていても……いいよね?) ……バタンッ…… その時、病室のドアが開かれる音が聞こえた。 振り返るとそこにはあの幼い日の面影が少し残る幸ちゃんだろう女の子の姿があった。 幸「…お兄ちゃんっ!!!」 幸ちゃんは私達のいるカーテンの中へ入ってきた。 小笠原「…幸様っ!そんな大声で!祐様のお体に響きますっ…」 小笠原さんもまた慌てるようにやってくる。 幸「…お兄ちゃん……どうして……」 幸ちゃんは小笠原さんの方へと顔をやると、 幸「どういうことよ!?お兄ちゃんが何でこんな目に合わないといけないの?小笠原さん、あなた言ったよね?お兄ちゃんのことはちゃんと守るって。あれだけ……嘘つきっ!!!」 そういうと幸ちゃんはあろうことか小笠原さんを殴ろうと手を振り上げた。 ……ガシッ……… 瞬時に力が幸ちゃんのその腕を掴み取る。 幸「…ちょっ……あなた……誰よ?」 幸ちゃんは怪訝そうに力を睨みつけていた。 力「俺?…あぁ……覚えてねぇのか。俺は祐と小学生の時に仲良くしてた…」 幸「…あーーーーーーっ!!!」 思い出したように幸ちゃんは大きな声を張り上げた。 幸「…い…池川の……藤沢力だっ!」 そんな幸ちゃんを見て力は一瞬驚いた顔をした。 けれど、すぐに顔を緩めてこう言った。 力「…フッ…そういう覚え方かよ。まぁ確かに俺は池川の藤沢だけど?」 そして、次の瞬間、幸ちゃんはあり得ないことを口にして―― 幸「サイン下さいっ!」 力「は?」 さすがにその拍子抜けな質問に力も驚いた表情。 力「あのさぁ、オマエ、兄貴がこんな目に合ってんのに何言ってんだ?そんなことよりもっと心配してやれよ?つーか、俺、サインなんてねーからさ…」
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