男のケジメ

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幸「じゃぁ、今ここでサイン作ったら…。で、私がその1号のサインもらってあげるっ!」 そう言って幸ちゃんはそのバッグの中からゴソゴソとメモ帳を取り出した。 幸「…これで…」 そんな幸ちゃんを呆れたような目で見る力が溜息を洩らしながら言った。 力「つーかさぁ、もし俺がサインをやるとしても1号はオマエにはやれねーわ。」 そして、その視線を私に移すと意味深な顔で近づいてくる。 力「サイン1号はコイツにやる予定だからさ。まぁ、それ以降だったら考えてやってもいい。」 幸「…えー…」 そんな二人のやりとりを見ていた私は少し不機嫌になっていた。 (…っていうか、祐がこんな状態の時に何でこんな話を……) 力「…あっ……えっ……何睨んでんだ?」 愛「だって、祐がこんな時に……酷いよ……二人とも……」 力「…悪かったよ……水月……」 その時だった。 幸「…え…水月って……もしかして……愛梨お姉ちゃん?」 私は無言で頷いた。 愛「幸ちゃん……ダメだよ。祐がこんな状態の時に何て話してるの?ちゃんとお兄ちゃんのこと診ててあげようよ…」 そういうと幸ちゃんはその頬を膨らませて、 幸「そりゃぁ、そうだけど。でも、目の前にあの藤沢力がいるんだもん。お姉ちゃん知らないの?藤沢選手って凄い有名で人気なんだよ?」 (えっ!?) 振り向くと力はドヤ顔で私を見ていた。 力「そうそう。俺、結構モテんだよ。そんなこと知らねーの、おまえくらいじゃねーの?」 彼の名が知れているのは知ってはいた。 でも、幸ちゃんにもその存在が知られているほどとは思いもしなかった。 その事実に私は驚いた。 と同時に私は少し心配になってしまった。 愛「…そう……なんだ……」 胸の奥から湧き上がってくる嫉妬心―― そんな私を力は覗き込むように見て、 力「…あれ? おまえ…」 悪戯そうな顔で彼は更に私を覗き込む。 そんな嫉妬心を気づかれたくない私は彼から視線を逸らした。 すると、 力「…そっか……いや……嬉しいな……ハハッ…」
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