男のケジメ

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私の知らないところで、勝手にそんな勝負をすることを決めていたなんて。 しかもそれをずっと黙っていたなんて信じられなかった。 愛「無理だよ…力。そんな簡単に祐に勝てるわけ……」 その時、力が私の言葉を遮り怒鳴った。 力「水月っ!!おまえ、俺が祐に負けるとでも思ってんのかよ?」 彼が私にそんな風に怒鳴ったことなどあっただろうか。 私は思わず固まってしまった。 と、同時に心臓がバクバクと音を立てていく―― その威圧感は私を不安にさせる。 愛「…どうしてそんなに……怒鳴らないでよ……怖い……力が怒るの……いやだ……」 いつもは優しい彼が起こったその事実で私はどうにかなりそうだった。 力「…悪かった…」 そっと力は私を抱き締めた。 その怖さから私は涙が出ていた。 力「…ごめんな。けどさ、俺、『無理』とか『負け』って言葉って滅茶苦茶嫌いなんだよ。つーか、おまえには信じていて欲しかったんだ。絶対に俺が勝つってさ。俺、死ぬ気でアイツと勝負しようと思ってた。じゃねーと…」 どうしてそんな勝負をしようとしていたのかなんて分からない。 だけど、その勝負に対して彼が不安を抱えてきたことは理解できた。 愛「…うん……私こそ…ごめんね……」 力「負けたらさ、おまえをアイツに渡さねーといけなくなる。絶対におまえを離したくなかった。俺が勝てば大泉グループの跡取の婚約者であるおまえを諦めてくれるみてーなこと言ってたからさ……」 力のその言葉で、私は彼が私よりも先に私が祐の婚約者であるという事実を知っていたことを悟った。 愛「…え……力……いつから……私が祐の婚約者って知ってたの?」 力「ん……この前のGWに祐から聞いた。」 GW中―― そういえば、祐と力が二人で話しをしていた時があった。 凄く剣幕な顔をしていたから覚えている。 (もしかして……あの時?) でも、なんでそのことをその時に私に言ってくれなかったのだろうか。 お母さんだってそうだ。 偶然、お祖母ちゃんの病院で祐のお祖父ちゃんと話しているのを聞いて私はそのことを知った。 そしてそれを祐に確認してそれが事実だと更に確認して―― どうして本人の私にだけ知らされていなかったのだろうか。 どうして皆、私に隠していた? 愛「…力は……どうして……私に黙ってたの?」 力「ん……おまえを心配させたくなかったんだ。俺のチカラでこの問題を解決できるのならしてやりたかった。もうさ、祐のことでおまえを悩ませたくなかったんだよ。」 愛「だからって……私のことなのに……そんなのって…」 力「それでも……俺はおまえには言いたくなかった。おまえには笑っていて欲しかったから。ん、けど、祐がこんなことになってその勝負すら今は危うい。けどな、この勝負は絶対にしねーといけねーんだ。俺がおまえを完全に自分のモノにする為にはさ。だから祐には、どうやっても復活してもらわねーと困るんだ。」
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