男のケジメ

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もしかして、力は何もかもお見通しなのかもしれない。 だけど、どうして―― 知られたくなかった。 あんなこと――― きっとそれを知ったら力は凄く怒るだろうし、とんでもないくらいキレちゃうかもしれない。 選手権の予選も近いのに彼に言って調子を狂わせたくないからこそ、ずっと言わないでいようと決めてたのに。 力「…水月……おまえ…?」 いつの間にか私の目の前は霞んでいた。 零れ落ちそうになる涙を隠すように私は彼から顔を背けた。 そんな私を彼は囲うように抱きしめて―― 力「まぁ、いいや。その話はここを出てから聞くよ。こんなところで話しててもあれだしさ。…ん……じゃぁ、俺達行くわ。」 そういうと、私の肩にその手をスッとまわして外へ出るよう促した。 小笠原「どちらへ?」 力「妹が来たら休めって言ったのアンタじゃんっ?コイツ、休ませるよ。いいよな?」 小笠原「では……」 その時だった。 幸「もう来なくていいからっ!」 小笠原「幸様っ!」 幸ちゃんが冷たい目で私達を睨んでいた。 幸「愛梨お姉ちゃん、お兄ちゃんのコトなんてもうどうも想ってないんでしょ?だったらもう来なくていいっ…」 幸ちゃんは憎しみにも似たような目で私を見つめていた。 彼女にそう言われても仕方がなかった。 愛「ゴメンね。幸ちゃん…」 小笠原「いけません、幸様。祐様は今、愛梨様を必要としているんです。社長からも言われております。このまま愛梨様をお返しするわけには……」 幸「あー…うるさい、小笠原!私はね、同情でお兄ちゃんをみて欲しくないの。そんなのいらない。私が……ちゃんと見るから…」 小笠原「なりません。」 幸「…だってそんなのお兄ちゃんが……」 その時、力が割って入った。 力「…あー……じゃぁ、そうしろよ?俺もさ、あんまりコイツを祐に関わらせたくねーんだよ。同情が愛情に変わってまた元の鞘に戻っても困るしな?!」 愛「力……私、そんなこと…」 力「…幸…だっけな?おまえさ、勘違いすんなよ?水月は単にここにいる小笠原に呼ばれてきただけだからさ。それに、おまえの兄貴もこうなる前にこいつにもう婚約は解消するって言ってたんだから、祐と俺達は関係ないって言っちゃ関係ねーんだよっ」
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