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祐に対しても俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
あの県大会の日、俺がもっと祐を問いただしていたらアイツは俺にその胸の内を話してくれていたかもしれない。
翌年の県大会の時だって、水月をまだ好きだというアイツの話を聞いてやっていればこんなことには――…
けど、今さら後悔したところで仕方がない。
あの日、運命は変わってしまったのだから。
水月は祐じゃなくて俺を選んでくれた。
今、彼女は俺のことを好きだと言ってくれているのだから。
けれど、その俺への想いを貫こうとしたが為に、水月は祐にその変わらない深い想いをカラダに刻み付けられた。
俺の知らないところであんな――…
ずっと俺の名前を呼び続けていた彼女を思うと俺はあの日の一瞬の事が後悔してもしきれない。
俺が彼女の傍にいればあんなことには――…
話によると祐はその行為を寸前で止めたという。
それは祐がやはり水月を本当に想っていたからだろう。
本当に大切だからこそ最後の一線を越えることができなかったんじゃないかと河合にも言われた。
高校になって祐に再会して俺はアイツが水月を今でも好きだということを感じとっていた。
だが俺はアイツにはもう渡したくなかった。
どんな理由でさえ、水月を傷つけたのだから許せるわけがない。
それに俺と水月はもうその一線を越えていた。
彼女を祐に奪われたくなかった。
しかし、祐は彼女が一目惚れしたその外見を利用して彼女を落としにかかる。
あの怪しい瞳で水月を引き寄せて――
俺は焦りを感じていた。
そしてGW中、俺は焦りから祐の目の前で水月は『俺のもの』だということを強調しまくった。
そのせいで、ずっと心の中で水月への想いにストッパーをかけていた祐に火をつけてしまった。
あの穏やかな祐が、彼女に信じられない行為をして━━
水月がそれに対してどれだけ傷いたのかは計り知れない。
水月にその行為をしたのは紛れもなく祐だ。
けれど、その行為をさせてしまったのは俺の責任。
俺があんなに挑発しなければ――…
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