願い

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それなのに水月は自分を責めていたという。 自分が祐をもっと信じてあげていたら、祐があんなことをしなかったと。 そして何より俺のことを凄く気にしていたという。 俺が選手権に向けて大変な時だからと心配をかけたくないとそのことは今は言わないでおこうと決めたという。 そして、祐とのことは自分で解決すると。 自分がまさか祐と婚約していることなど思いもせず―― 俺は、彼女が俺のためにその辛さを押し殺したことが申し訳なかった。 彼女がそんなことになっていたというのに一体俺は何をしていたんだと。 そんな彼女を俺は責めることなどできない。 それよりも今はそんな彼女をただ抱きしめてやりたい。 俺は腕の中で眠る彼女を見つめた。 (…水月…) ……プルルル……… 突如、鳴り響く電話の音――― その音に彼女が少し反応した。 俺は慌ててそこから近くにある受話器をとった。 電話の主は予想していた主だった。 力「…え……あぁ。…ん……分かった……すぐ行く……」 受話器を元に戻すと、寝ぼけ眼の水月が俺を見ていた。 愛「…つ……とむ……?」 愛しいその人の頭を俺は撫でる。 力「…起きられるか?……祐の部屋に……行こう……」   水月の目がパチリと開いた。 愛「…祐に……何かあったの?」 力「…ん…大丈夫だって。とにかく行こう。おまえが必要みたいだ……」
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