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控え室で着替えをしていると監督がやってきた。
橋本「藤沢ー…いるかー?」
力「はい!」
外から俺を呼ぶ監督の声。
俺はさっきの事を思い出し動揺した。
俺が早々に着替えを済ませ外へ向かおうとすると亮が言った。
亮「(さっきの……彼女のコト…バレたんじゃねーの?)」
(…げっ……)
坂田のおっさん、まさかとは思うが水月のこと俺の彼女とかって紹介したんじゃねーだろうなぁ。
そう思いながら俺はおそるおそる部屋を出た。
するとそこには意外にも笑顔で俺を待つ監督がいた。
橋本「今日はお疲れ。初マウンドご苦労だったな。」
センバツ優勝校に勝利をしたということで監督はかなり機嫌がいいように思えた。
橋本「で、これからなんだが、そのノーヒットノーランのお祝いをしてやろーかと思ってるんだが…」
有無を言わさず監督に連れられて俺はジャージ姿でタクシーに乗り込んだ。
力「…どこへ行くんですか?」
橋本「まぁ、着いてからの楽しみだな。」
監督はタクシーの運転手に場所を伝えている。
俺はその間、窓の外を見ていた。
(…水月……無事に帰ることができるだろうか…)
電話をしてやりたかったが、この状況では絶対にできそうもない。
おそらく監督は食事かなんかに連れてってくれるんだろうが、俺は食い物よりあいつの声が聞きたくて仕方がない。
そんなコトを思いながら俺はポケットに忍ばせていたスマホを握りしめた。
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