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祐父「どう……ですか?」
主治医「とりあえずは山は越えました。あとは目を覚まされるのを待つだけですね…」
そういうと祐の主治医は一礼してその病室から出て行った。
祐父「…良かった…本当に良かった…」
祐母「愛梨ちゃんのおかげよ。祐……良かったわね?愛梨ちゃんはあなたの命の恩人よ。お礼を言う為にも早くその目を開けなきゃね……」
愛「いえ…私は何も……祐が頑張ったから…」
あの後、祐は何度かまた苦しそうな顔を見せた。
しかし、日が明けてくるにつれ、その回数が減り、心拍数、血圧ともに安定してきた。
祐父「本当に申し訳なかったね。疲れただろ?もう大丈夫だから、愛梨ちゃんは休むといいよ…」
愛「大丈夫です。それより、お父さんこそ、お疲れじゃないですか?」
祐のお父さんは祐が撃たれた後、その処理を先頭をきってやっていたらしく、その処理が終わったのは夜が明ける少し前。
祐父「いや、私は大丈夫だよ。息子がこんな目に合ったのは私のせいでもあるわけだし…」
愛「それは違います……私の……」
そんな私の言葉を祐のお母さんが遮ってそっと私の手に触れた。
祐母「愛梨ちゃんのせいじゃないわ。今回のことは親である私達がいけなかったの。あの子を思えば、私達がもっとしっかりしなきゃいけなかった。だから愛梨ちゃんは何も悪くないの……」
愛「お母さん……」
祐母「…祐……ごめんなさい。あなたを苦しめていたこと……私、見て見ぬフリをしていたのかもしれない……母親失格ね…」
そんなお母さんにお父さんは近寄ると肩を抱き寄せた。
祐父「おまえにもツラい思いをさせた。私がもっとしっかりしていればこんなことには……ん……でも、もう心配はいらない。さっき、父とも話し合ったんだが、後継者の件は私が引き受けることにした。」
祐母「え……祐人さん…?」
祐父「大丈夫だ。心配はいらない。反対勢力は全て排除した。もううちのグループに私達を狙うヤツはいないはずだ。私が今後は大泉を取り仕切る。だからもう大丈夫だ。」
祐母「…っ……」
祐父「祐に……安心して目を覚まさせてやりたいからな……親友の力君にも言われたし…」
愛「えっ?力が?」
祐母「そうなの……力君、凄く祐のことを心配してくれていたみたいで…」
祐父「いい友達を持ったよ。祐は……」
祐母「そうね。本当に。いつまでもいいお友達でいてくれたらいいわね…」
祐父「あぁ……」
そう言って見つめ合う二人を見た私も、また心から安堵した。
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