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眠りから覚めた私の目の前に白いシーツが飛び込んできた。
愛「…あ……私、眠ってたんだ……」
あまり睡眠をとっていなかったからなのか、私は知らないうちにその祐のベッドに突っ伏して眠っていたようだった。
ふと壁にかけられていた時計を見ると9時を廻ろうとしている。
愛「なんだ……さっきの……夢だったんだ…」
(…えっと確か、夢で誰かに私は名前を呼ばれて……あれは……一体……)
『……愛梨……?』
夢で呼ばれたその声と同じ声が近くで聞こえた気がした。
その声の方向へと私が振り向くと同時に、その握り締めていたはずの手がいつの間にか握り締められていることに私は気づいた。
そして、その手にはチカラが込められていて―――
祐「……おは…よう……」
愛「祐っ!!?」
そこには痛々しい姿ながらも私の顔を愛おしそうに見つめる祐の姿があった。
祐「…聞こえた?俺の声……」
愛「えっ……」
(聞こえた?って……もしかして、あの夢は…)
愛「祐……私を呼んでたの?」
祐「…うん……ごめん……起こしちゃったね…」
そういうと、祐はその手にまた少しチカラを加えた。
祐「もう少し、眠らせてあげたらよかったかな……ごめん……えっ……あ……愛梨?」
目の前で祐がまた私に笑ってくれている。
その現実に安心した私の頬を知らず知らずのうちに涙が伝っていた。
愛「…っ…起こしちゃったって……祐……眠らせてあげたらなんて……バカっ…」
頬を伝う涙を何度も何度も私は服の裾で押さえつけた。
祐「……ごめん………心配かけたね……大丈夫だよ……俺は大丈夫だから…」
そういうと祐はそのカラダを起こそうとした。
祐「…った…っ…」
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