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無理矢理、カラダを起こそうとした瞬間、祐がその痛みを訴えた。
愛「…ダメっ!動かないでっ…まだ動ける状態じゃないんだよ?ほら、自分のカラダ、ちゃんと見て…」
自分のカラダの状態にようやく気づいた祐は溜息をついた。
祐「…嘘だろ?…はぁ……困ったな。ん……これじゃぁ、愛梨の可愛い顔も好きに見られないな……」
そう言って祐は私へと視線を移した。
愛「…っ…」
それは私が好きだった彼の私を見つめる目。
そんな目でそんな言葉を言うものだから私はどうしていいのか分からない。
愛「…そ…そんなこと言えるくらいだったら…も…もう大丈夫よね?」
冷静さを保たとうとすればするほど、今の私は挙動不審な変な子に見えているかもしれない。
その時だった。
祐「…愛梨……傍にいてくれて……ありがとう…」
私を見つめる祐のその瞳は、あの幼い頃と同じように優しかった。
愛「…うん…あ…でも、幸ちゃんも皆もさっきまでいたんだよ?」
祐「…えっ……幸もって……愛梨……あいつと会ったの?」
愛「うん…」
祐「幸、生意気になってただろ?あいつ手に負えないんだよね……クスッ…」
愛「幸ちゃん、凄い可愛くなってたね。やっぱり祐の妹だなって感じ。」
祐の妹だけあって幸ちゃんは小さい頃も可愛いかった。
でも、成長した幸ちゃんはそれに増して綺麗になっていて――
祐「そうかな。俺は愛梨の方が断然可愛いし綺麗だと思うけどな。」
そう言って祐は私を愛おしそうに見つめる。
愛「…だ…だから……祐……どうしてそんな風に……そんな台詞を…」
恥ずかし気もなくサラッとそんな言葉を言う祐とまともに顔を合わすのができず私は思わず背を向けてしまった。
祐「…だって本当のことだから……」
そう言って祐はずっと握りしめていた私の手をクイッと引っ張って、彼の方へと引き寄せた。
愛「…きゃっ……」
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