69人が本棚に入れています
本棚に追加
突如、加わったチカラのせいで私は倒れそうになった。
祐「…っ……いたっ……」
そして、その撃たれただろう胸元に一瞬だけ触れてしまったようだ。
愛「…ぁ……祐っ……痛い?…ごめんっ……大丈夫?」
傷口のこともあるし、そこに触るわけにもいかない私は、ただ祐の傍でアタフタしていた。
祐「…愛梨……」
気がつくと、至近距離10センチあるかないかの距離に祐の顔があった。
愛「…っ……ぁ……ごめん……」
私は慌てて彼から離れようとした。
ところが、あろうことか祐はその手を私の後頭部にもっていき――
視線が交わると私の胸の奥から音が聞こえた。
……ドクン………
傷だらけだけど、変わらないその切れ長の瞳で私を見つめる祐。
祐「…ね……もっと……よく…愛梨の顔……見せてよ…」
病人相手にそれを拒否することなどできない。
そしてその魔力のような瞳に吸い込まれた私はそこを動けずにいた。
そんな私の頬を祐はそっと触れた。
祐「…愛梨だ……」
そう言って祐は私の頬を指で何度も滑らせる。
祐「…何も変わってない……」
そして、祐がその手を私の唇に滑らせる。
愛「……っ……ぁ……」
私の唇をなぞるそのしなやかな指に、思わず声が洩れてしまった。
祐「…感じてる…の?」
愛「…ちがっ……」
その矢先に祐はまた私の唇をなぞって――
祐「…いい顔してる……でもさ……誰にでもそんな感じちゃダメだと思うよ?ん……俺が力でもやっぱりキレちゃうよ。…な?力?」
最初のコメントを投稿しよう!