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力「…ふーん……なるほどね…」
突如聞き覚えのある声が聞こえてきた。
そして振り返った先には、なんと力がいて――
愛「…つ…力…っ」
力はカーテン越しに私たちを見つめていた。
愛「い…いつから…?」
力「いつからって……ずっと向こうのソファーにいたけど?ん、祐が目を覚ましたみてーだから近寄ってきてみたら……へぇ…」
完全に疑うような目で力は私を見ていた。
愛「…あっ…力っ…えっと……」
祐に見つめられ、その手で触れられドキドキしていた自分。
弁解なんてできるはずもないこのサイアクなシチュエーション。
私は慌てて祐から離れようとした。
だけど、祐は握り締めた私の手を離してくれなくて――…
祐「…なんだよ……力。せっかくいい雰囲気だったのにさ。邪魔しないでくれるかな?っていうか、愛梨……顔が真っ赤だよ?…クスッ…どうしたの?」
そう言って悪戯そうな顔で祐は私を覗き込む。
愛「…な…なんでも……」
祐「…そう?でもやっぱり凄く赤いよ。あ…もしかして熱かな?」
愛「…ち…ちがうよ…」
祐「…じゃ、ちょっとこっちきて額触らせて?」
病人とは思えないチカラで祐は私を引っ張った。
愛「…ぁ……」
近づいた額に祐はそっと触れると、
祐「…やっぱり熱あるみたいだよ?…一緒に…寝る?」
その時だった。
そんな私達のやりとりを一部始終見ていただろう力がツカツカとやってきて、
力「いつまでイチャついてんだよっ!……水月っ……何こいつに流されんだよ!」
そう言って力は私を強引に引き離した。
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