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力「…まったくおまえは……」
力は呆れた口調で言った。
力「…おまえ油断も隙もねーなぁ……」
そしてその視線を祐へと流す。
祐「…せっかく、愛梨と目覚めのキスをしようかと思ってたのにね………力……タイミング悪いよ……クスッ…」
誤解を生みそうなそのセリフに私は慌てて弁解に走った。
愛「…ちがっ……あ……力っ……違うからっ!キスなんて……」
祐「そうかなぁ?さっき、愛梨、凄く感じたような声出してたけど……?…だよね?力?」
何故かしれっと力にも同意を求める祐に私は慌てて力の方を振り返ると、
力「…そうだな。」
力の表情はほとんど無表情。
私の背筋は凍りついた。
愛「…ご…誤解だよ。っていうか、あんなことしたら……どうしたって……」
力「ったく……おまえは浮気性だな……」
そういうと、力は私をチラッと見たかと思うと大きな溜息をついた。
(…力……怒っちゃった……でも当然だよね……でもっ……そんなつもり全然なかったのに…)
そんな無表情な力を見つめていると、私はどんどん不安にかられてしまった。
祐「あーあー…愛梨……力、怒っちゃったよ?……ん……どうする?…困ったねぇ。ん……仕方ないなぁ。じゃぁ、俺が慰めてあげるよ。こっちおいで?さっきの続きしよ…?」
祐は私に手招きをして呼び寄せようとする。
そして力に対しては意味深な顔で見て――
祐「…力……いいよね?」
力「…い…いいワケねーだろっ!」
……ガバッ……
そう叫んだ瞬間、力はその腕で私を後ろから囲うように抱きしめた。
力「コイツは俺のもんだっての!俺の承諾なしに触れさすわけにはいかねーってんだよ。」
そして、力は私を抱きしめたまま、その私の額を小突いて――
力「…このバカっ!俺、祐の傍にいてやれとは言ったけど、誰も祐のイイナリになれなんて言った覚えねーぞ?」
愛「バカって……私、そんなつもりじゃ……」
力「イイナリもいいトコじゃねーか?あのまま、俺がおまえらの方へ行かなかったら、おまえ、祐にマジでキスされてたんじゃねーの?」
愛「…え……それは……」
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