王子帰還!?

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力「…つーか……おまえ、ホントにさっきまでくたばってたヤツかよ…」 祐の体に取り付けられてあった装置から目が覚めたことが伝わったのか、その病室へお医者さんたちがやってきた。 そして、祐の具合を確認し再度傷口の処置をした医者たちはようやく今病室を出ていったところだ。 祐「まぁ…一応ね……」 ベッドのリクライニングを少し起こした祐は、寝ていてバサバサになったその髪を整えながら言った。 力「ん、それだけ口達者なこと言えるんだったらもう大丈夫だな。っとに心配かけやがって…」 祐「…迷惑かけて悪かったよ……」 力「かけすぎだってんだよっ。何いきなり撃たれてんだよ?おまえならその走りでそんな弾から逃げられたんじゃねーの?」 突如あり得ないようなこと言い出す力に祐が苦笑いする。 祐「まさか。そんなことできるわけないだろ?俺もそこまで反射神経良くないって…ハハッ…」 力「あー…ホント、誰かと一緒で鈍くせーヤツだなぁ。俺だったら、んなもん速攻で避けてるってんだよ。」 そう言ってその視線を私へと向けた。 (誰かと一緒って……それって……) 祐「…クスッ…そこまで力も反射神経良くないと思うけど?」 力「は?おまえに反復横跳びで負けたことなかったと思うけど?」 (…反復横跳び…って…そういえば、この二人、体力測定かなんかでもいつも競い合ってた…) 祐「違うって。確か同じ回数だっただろ?何、自分が勝ったみたいなこと言っての?っていうか、反復横跳び……俺等より跳べたヤツって……あれ…?…そういえば一人いたような……?」 そういうと二人は一斉に私の方を振り返った。 (え?) 力&祐「こいつ!!」 同じタイミングでハモった瞬間、二人は顔を見合わせて笑い合った。 力「なんか知んねぇけど、逃げ足だけは速かったしなあ……こいつ…」 祐「そうそう!ドッジボールしてても最後まで当てさせてくれなかったよね?力、凄いムキになってたよね?」 力「休み時間終わるから観念してくれりゃーいいのにさ。なんつーか……おまえ、そういうトコ可愛くねーぞ?」 突然盛り上がる二人。 そして何を話し出すかと思えば過去のことを持ち出してきて―― 愛「…ちょ……どうしてそうなるの…っ…」 思わず膨れっ面になった私。 そんな私の頬を力は手の平で挟むと、 力「たこ焼き入ってんぞ?」 そういってその膨らませていた頬をポンッと軽く叩いた。 愛「…プホッ……」 その瞬間、私の口からヘンな音がして、それに反応した力と祐がケタケタと笑い出しだ。 愛「…もっ…もうっ…なんなのっ……」
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