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ようやく届いた彼女への想い。
俺は祐のように絶対に彼女を泣かせないと心に決めた。
そして、これからは祐じゃなく、俺が水月を幸せにしてやるんだと。
何年も想い続けた彼女への想い。
祐を想っていた時の水月よりも、俺を想ってくれる彼女の気持ちの方が大きく、そして深いものになるように俺は頑張ろうと思った。
けど、あの日がなければ、俺達は今のようにはなっていない。
あの日は俺達にとっての『運命の日』で――
祐「…そうかなぁ。俺はそれは違うと思うな。だって力は愛梨のこと、初めて逢った時から気になってただろ?」
そう言って祐は意味深な顔で俺を覗き見た。
(…やっぱ……バレてたんだな……俺の気持ち…)
完全に見透かされていた。
祐の言うように、俺は彼女に一目惚れした。
祐「力は顔に凄く出るからね…クスッ…」
嘘を言ったところでおそらく通じない。
俺は観念した。
力「…あー…おまえには嘘つけねーなぁ。そうだよ。俺は水月と初めて逢った時からおまえの傍にいたあいつのこと、メチャクチャ気になってたよっ!悪りーかよっ!?」
そんな半ばヤケクソな言い方の俺に祐は苦笑いした。
祐「…いや……まぁ…悪いといえば悪いし困ったけどね。だけどさ、人を想う気持ちは止められないからね。それに力が愛梨を好きになってもしょうがない。愛梨はホント可愛いからさ。っていうか、力の目はホント愛梨ばっかり追ってたよね?」
俺の目は水月をいつも追っていた。
しかし祐にそんな俺の姿を見られているとは思いもしなかった。
祐「たぶん、クラスの大半は、力が愛梨を好きなこと、知ってたんじゃないかな…クスッ…」
力「え?マジかよっ?」
祐「ん……大マジ!」
(ってか、クラスの連中、皆にバレてたって、俺、どんだけ顔に出るタチなんだよっ…)
力「けど、水月は俺の気持ちなんか全然気づいてなかったみてーなんだけどな。」
当時、水月もまた俺達と同じクラスだったのだが、その肝心な張本人にはそれからもずっと俺の気持ちは気づいてもらえなかった。
そんな彼女が俺の気持ちに気づいたのはかなり後だった。
祐「愛梨は特別だよ。ほら…、ちょっと抜けたトコあるから……プッ…」
そういうと祐は噴き出した。
力「そうだな。あいつ、ちょっと天然入ってるもんな…ハハッ…」
祐「ちょっと?」
力「いや、かなり……かも……」
祐「言えてる…っ…クスッ…」
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