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祐「…たく……言ってくれるよな……」
苦笑いしながら祐は溜息を洩らした。
力「ん…けど、遠距離って大変なんだな。俺、今ならおまえの気持ち分かるよ。」
祐と水月が遠距離になってしまった時、俺はずっと彼女の傍にいた。
祐を想う水月のせつない姿――
だけど、まさか遠距離がここまで大変なものとは思ってもいなかった。
彼女に逢いに帰ってきて何度抱いても抱き足りず、その想いは溢れるばかりだ。
祐「俺の気持ち……ようやく分かった?」
力「…嫌というほどな。」
だからこそ、卒業したら俺はもう彼女を離したくない。
もうそんな不安を抱えなくていいように――…
祐「…そっか。だったら、俺が愛梨を引き受けてあげてもいいけど?」
いきなりのその祐の冗談じみたセリフ。
力「は?じょ…冗談!」
確かに大変ではあるけど、俺は絶対に譲る気なんてない。
祐「絶対に俺の方が愛梨を幸せにしてあげられると思うんだけどなぁ?」
力「…ちょ…誰が渡せるかよっ…つーか、水月は俺のことが好きなんだぞ?」
『水月は俺のことが好き』
確かにそれはあいつ自身からも聞いた言葉だし、俺もあいつを抱きながら感じていること。
けど、それでも祐と水月が話しているのを見ていると、時々、本当に俺だけを見てくれているのかと思うことがある。
水月にとって祐が特別な存在であることは俺は誰よりも知っている。
もちろん俺と二人でいる時にはそんな不安は全く感じられない。
だが、祐と二人きりでいる時の水月はさっきのような――…
ふと頭の中をそれが過る――
『もしも、俺が二人の傍からいなくなったら…?』
祐と水月はあの頃に戻れるんじゃないだろうか。
そんなことを考えている俺に更に祐は不安にさせるようなことを言った。
祐「ん……けど、愛梨って俺に今だにドキドキしてるみたいだけど?」
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