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力「…クッ……帰ってくる自信があるから言ってんだよ。」
俺は水月にもまた、祐の傍でその奥底に眠っている祐への想いをもう一度、掘り起こして再度向き合って欲しいと思っていた。
力「さっき言ったろ?ケリつけさせたいって。おまえの傍で……な。」
水月にはいつまでも祐への想いを誤魔化して欲しくなかった。
祐の言うとおり、俺は贅沢なのかもしれない。
けど、俺は――……
俺のことしか見られない、俺以外の男に胸が高鳴らない彼女を抱きたい。
祐「じゃぁさ、ケリがつかなかったらどうするんだよ?」
もしかしたら、水月は俺じゃなく祐を選ぶかもしれない?
そうなればそれは仕方がないのかもしれない。
元々、水月は祐のことを想い続けていたんだし、それに祐を選ぶってことは俺にそれだけの魅力しかなかったってことなんだろうから。
力「まぁ、でもそれはねーよ。水月はなんやかんや言っても俺のことがメチャクチャ好きだからな。ケリつけて帰ってくるよ。」
自分で言っておきながら俺はその自分の放った言葉に少し恥ずかしくなった。
祐「何、頬赤らめて言ってんの。…ん……いいって。俺に遠慮してんだろ?あの時のこと気にして…」
祐を信じてやれなかったことを全然気にしていないといったら嘘になる。
けど、今は何より俺は祐と走りたいと思っている。
同じ舞台で、あの親友同士だった……あの幼い頃のように走り、競い合いたいというのがあって――…
力「遠慮なんかするかよ。俺はとにかくおまえに勝ちてーんだよ。あんな県大会みたいな差じゃなくって、もっと大差でな。だからウダウダ言ってねーでとにかく早く完全復帰してこい。その為に水月をおまえの傍につけてやるって言ってんだ。」
もう一度一緒に走れたら――……
きっと俺達はまた親友に戻れるんじゃないかと俺は思っている。
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