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最初、俺が好きになったのは祐の傍で笑っていた水月だった。
水月は祐の傍にいたからこそ、あの頃あんな幸せそうな笑顔で、そして輝いていたんだと思う。
そんな彼女に俺はドンドン惹かれていったわけで――
力「もうさ、あいつが泣いたり苦しんだりするの、俺は見たくねーんだ。」
祐のことを想い涙した水月を俺は何度となく傍で見てきた。
もう彼女にはそんなツラい思いをして欲しくないし、俺の傍では笑わせてやりたい。
祐「…ったく……言っても聞きそうにないな…」
祐は大きく溜息をついた。
力「わりー……祐……」
祐「…っとに…力は……昔っから勝手で自信家で……あー……ったく、知らないからね?後で愛梨にバレても…」
バレるのは時間の問題かもしれない。
けど、あの天然の水月のことだ。
きっと当分は気づきはしないだろう。
力「その時はその時だって。まぁ、でも、もしバレたとしても、あいつも理解するだろ。俺がそういうヤツだって知ってんだし?」
祐「…あー…何とでも言いなよ……クスッ…ん、分かったよ。その時は俺がフォローするよ。けど、その時におまえに呆れて愛梨が俺の方を向いたとしたら知らないからね。」
力「…だから向かねーって…クッ…」
そして、俺達は笑い合った。
それは俺たちの関係が以前に近づいた瞬間だった。
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