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どういうことなのか、もう全く分からなかった。
水月もまたそんな俺達の会話をハラハラした目で見ている。
橋本「心配するな、藤沢。他の連中には特別に黙っててやる。その代わりだ。今年の甲子園……必ず優勝してこい!」
(…えっ……は?)
坂田「それはまた難しい要求じゃないか?」
橋本「いや。今日の藤沢のピッチングを見る限り夏はいける気がする。水月クンもそう思うだろ?なぁ?」
(おいおい……水月にふっかけんなよ!)
愛「え…あ…あの……」
案の定、彼女は困った顔で今にも泣きそうだ。
そんな水月を見ていた坂田が、
坂田「橋本、そんなに水月クンを苛めないでやってくれ。藤沢君がキレてしまうぞ?」
そのセリフに皆の視線が一斉に俺に集中した。
!!!
橋本「そうかもしれんな…ククッ…」
完全に監督は俺たちで楽しんでいる。
坂田「そうそう。橋本。水月クンは今日の今日まで藤沢君がピッチャーをすることを知らなかったらしいぞ?」
橋本「え?藤沢、おまえ何で彼女にそういう大切なコトを言ってないんだ?」
坂田「水月クン…怒ってたぞ?なぁ?」
(…えっ……怒ってた?)
彼女の俺を見つめるその表情は何か言いたげな感じ。
単に俺は彼女を驚かそうと思っていただけだった。
彼女にこの初マウンドでの勝利をプレゼントしたいと……
力「…ごめん…な?」
愛「…うん…」
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