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俺は祐の視線のその意味を理解した。
力「あー…バカらしー…。俺、もう帰るわ…」
愛「えっ……帰るって…」
水月に分からないように祐はその俺のセリフに頷いた。
そして俺もまたその祐の頷きに応え、水月に感づかれないように目で合図を送った。
力「昨日も寝てねーしな。悪りーけど、俺、こんなところに長居してる場合じゃねーんだよ。」
愛「こんなところって……」
力「祐も元気になってるの見たし?ん……後はおまえに任せたから。」
愛「……任せたって……」
力「ん……大丈夫だろ?それに俺がずっといてやるわけにもいかねーしさ。俺も忙しいんだよ、いろいろと。」
刻々と迫り来るその暫しの別れの時を俺は感じていた。
そして自分に言い聞かせていた。
(ほんの少しの間だけだ…きっと水月なら…)
力「…大丈夫……だよな?」
俺は真剣に彼女にその思いを放った。
彼女がジッと俺の瞳を見つめている。
愛「…分かってる。大丈夫だよ。力の大切な親友だもん。ちゃんと見てるから、私。」
(…親友か…ん……また……そんな風に呼び合える間に戻れるだろうか…)
力「ん……なら安心だな。頼むよ。」
愛「うんっ」
その屈託のない笑顔―――
今は……何も知らなくていい。
……水月………
その笑顔を……俺はまた見られるのだろうか。
そして、今度会う時、彼女はその瞳を完全に俺だけに向けてくれる?
力「水月、俺、当分忙しくてこっちに帰ってこれねーと思う。けど、俺、頑張るからさ。だから、おまえも……」
愛「うんっ。400……頑張るよ。力の為に絶対っ!」
その言葉を聞いて俺は安堵した。
(…こいつは……きっと大丈夫だ……)
そんな俺達の会話に祐がここぞとばかりに入ってくる。
祐「え?俺の為にも頑張って欲しいんだけどなぁ……こんな足だからさ……」
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