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椎「愛梨ー!凄いじゃーんっ!」
力の初の投手としての試合が終わった翌週の月曜日、学校へ行くとシーナが私を待ち構えていた。
手には何故か新聞を持っている。
椎「これこれー!見たよー?」
そういうと私の目の前でその新聞をガサガサと広げていく。
愛「…あ……力……」
スポーツ面のそのページにある記事には大きな文字が!
しかも投球姿の力の写真まである。
椎「『池川 藤沢完投ノーヒットノーラン 』だって!…『選抜優勝校に得点与えず』って…これって愛梨の彼氏でしょー?」
愛「!!(…しーっ!!)」
クラスメートが何事かと私達を見ている。
椎「いいじゃんっ!そんな恥ずかしがらなくって…」
そこに一年の時も同じクラスだった同じ部の崎田クンが現れた。
崎「よっ!水月!…アイツ…やったなっ」
崎田クンは中学の時、力と同じ野球部にいた。
力は途中から野球部を辞めたけれど、崎田クンは三年間軟式野球を続けた。
崎「さすがリトルシニア出身だよな。まぁ、アイツ、硬式の方ではピッチャーで有名だったし当然の結果かもしんねーけどさ。」
愛「え?崎田クン、力がピッチャーやってたこと知ってたの?」
崎「えっ?水月は知らなかった?アイツさ、中学一年の終わりくらいに肩やったんだよな。で、途中、リハビリに通ったりイロイロ大変だったみたいでさ……けど、やっぱり復帰したかーって思ったよ。俺、池川に行くって聞いたとき、もしかしたら…って思ってたからさ……」
なんだか取り残されているような気がした。
そして、私は彼のことを知っているようで何も知らない……
凄く嬉しいことのはずなのに何だか複雑な気分になって落ち込んでしまった。
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