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教官室――…
坂田「おぉ!来たか、水月クン。」
愛「はい。遅くなりましたっ」
アップを終え、私は教官室へ来ていた。
坂田「で、結論は出たかな?」
愛「…はい…。やってみたいと思います。」
坂田「藤沢君にも相談したのかな?」
愛「あ…はい。土曜日に…」
坂田「そうか。やっぱり土曜に無理にでも連れていって正解だったな。」
愛「え?」
坂田「おそらく水月クンは決めかねているんじゃないかと思っててな。あの決断力のある藤沢君にも意見を聞こうと思ってたんだが、橋本のヤツが完投勝利に大喜びで、その話ができなくてな。気にはなっていたんだが…ちゃんと話はしてたんだな。」
愛「はい。応援してるって言ってくれました。」
坂田「そうか。そしたら今日から早速、400の練習を始めてもらうおうか。」
そう言って坂田先生は一冊のバインダーを私に手渡す。
坂田「ここに練習メニューを組み込んである。もちろん跳躍メニューも組み込んであるが、今日はまず400からやってくれ。初めてで心配だろうが仲間もいるから心配はいらない。まぁ、とにかくトラックに行ってみてくれ。」
愛「はい。わかりました。」
先生に言われたとおり、トラックの方に行くと同じ陸上部のトラック競技の選手がたくさんいた。
(…私…本当にできるのかなぁ…)
歩きながらバインダーの中身を見ているといきなり誰かにぶつかった。
愛「…あっ……す…すみませ…ん…!?」
バインダーを落としてしまった私はそれを拾おうとする。
だけど、そのぶつかった人がバインダーを拾い上げそれを私に差し出した。
(…えっ…)
顔を上げるとそこには私のよく知る人がいた。
(…祐……)
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