戸惑い

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―――――――――――― ――――――――― ―――――― 部活を終え、着替えを済ませた私は部室を出て帰ろうとしていた。 すると、部室前に祐が立っていた。 私の姿を確認すると祐は笑顔で私に近づいてきた。 祐「お疲れさん。」 愛「あ…お疲れさま。」 私は彼にそれだけ言い、自転車置き場へと足を進めようとした。 祐「愛梨…一緒に帰らないか?400の話もしたいし…」 愛「あ…えと…ごめん。沙希ちゃんと帰ろうと思ってるから…」 沙希ちゃんと帰る約束をしていたわけじゃない。 でも、今は祐と一緒にいると流されそうで… とっさの思いでウソの理由を作った。 祐「…あぁ、中川さんね。…あれ?彼女…さっき、一年の子と帰ってたんじゃ…」 !! 愛「そ…そう…あれ?おかしいなぁ…ははっ…」 祐「…ん、じゃぁ、一緒に帰ろうよ?送ってく。」 愛「え…でも…」 断る理由を探していたけれど何も思いつかなくて私は焦っていた。 そんな私に祐は、 祐「…でも…『力』が気になる……か…クスッ…」 祐はまいったと言わんばかりの顔で私を見ていた。 祐「力ってさ、結構、独占欲強いんだ?」 愛「…え……」 祐「そりゃそうだよね。やっと愛梨を手に入れたんだ。独占したいのは当たり前…か…」 愛「…祐……あのね…私……」 やっぱり祐には分かってもらいたいと思った。 私には力しかいないってこと。 祐のことは考えられないって…。 その時、少し離れた場所から翔先輩が駆けてくるのが見えた。 翔「おー!愛梨っ!探したぞ?坂田が話あるってさ。」 愛「…あ…ごめん…先生呼んでるみたいだから…」 その救世主の元へ私は逃げるように駆けていった。
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