戸惑い

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翔先輩に呼ばれた私は先輩と一緒に体育教官室へと向かっていた。 愛「…えっと、坂田先生呼んでるって…何の用なんでしょうか?」 先輩も一緒に向かっているということは跳躍関係の話? なんて思っていたら、 翔「…嘘だよ。」 愛「えっ?」 翔「そう言ったら大泉から離れられるかなって思ってさ…」 先輩は祐といた私をうまく引き離してくれたようだった。 愛「…ぁ……ありがとうございます…」 翔「おまえなー…、もっと頭使えよ?っとにバカだろ?」 愛「バカで悪かったですね。」 翔「で認めるなよ、ったく…」 そうやって酷い言い方をするけれど、なんやかんやで先輩は優しい。 (心配してくれたのかな…) 翔「まぁ…でも、今から帰るってのもちょっと不自然だしさ、時間潰して帰るか?」 来た道から外れた道を遠回りし、時間を潰して私たちはまた部室へと戻ってきた。 祐は既にそこにはいなかった。 翔「…で、やっぱ400続けんのか?」 さっきの祐との会話を思い出して私はまた悩んでいた。 400をするということは、祐に接近するということになる。 そして、400の練習を後半にもってきたら、たぶん祐と帰る時間は同じくらいになる。 そしたらまたさっきみたいに一緒に帰ろうって言われるのかなぁ。 愛「…400はやってみたいとは思うんです。でも…」 力に心配をかけるくらいならやらない方がいいのかもしれない。 いろんな心配をしながらできるほど私は器用じゃない。 でも、あんな風に応援してくれた力の気持ちを考えると、辞める理由が祐のことだなんて言えない。 それは祐を意識しているということになるのだから… 翔「なぁ…そんな悩むならさ、もう一回藤沢と話し合ってみれば?続ける続けないはあれとして、400に大泉がいるってことは言ってねーと後から厄介になったらおまえ困るだろ?」
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