卑怯者

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卑怯者

女性とお付き合いをするとき、 僕は、その女性といずれ結婚するつもりで、 付きあうかどうかを決める。 だから、お付き合いが始まったときは、 もうその人と一緒になろうと思っている。 でもそれは、 僕の想像力不足がそうさせているのであって、 今僕は、 僕自身が結婚相手に何を求めているのか、 つかみかねている。 あなたは、最高の人だと思う。 これほど、わかり合えた人は、他にはいない。 僕がわかり合えたと、そう思っただけなのだけれど。 僕の迷いは何なのか。 未だ見ぬ素敵な人が、現れると思っている? その人と、家庭を築こうと思っている? 僕の望んでいる家庭の形は、 どうなのだろう? 本当に、親としてやっていくことが、 自分にできるだろうか? 子育ては、ゲームではない。 それはひとりの人間を、 その人生を、預かることなのではないのか。 ひとり、これから先のことを、考える。 僕と、伴侶となる女性(ひと)と、二人きりの世界。 そんな人生の方が、 僕には生きやすいのではないか? 僕が今、すべきことは、 あなたともう一度、 言葉を交わすことなのではないか。 揺れている。 二人過ごした日。 ただ共にいるだけで、幸せだった時間。 何でもないことを話し、 髪に、手に触れて、 口づけを交わす。 僕が遠ざけたあなたはまるで、 何ごともなかったかのように振舞ってくれている。 僕は臆病者のまま、 諦めるのか、戻るのか、 決められないまま。 あなたほど、僕を理解してくれる女性(ひと)など、 いないというのに。 寂しさを感じるほど、 あなたのそばへ、戻りたくなる。 僕が、僕の都合で遠ざけたというのに。 僕は、 卑怯者だ。
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