僕の価値は

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僕の価値は

年末の、にぎやかな時期が近付いている。 催しのための飾りつけ。 色紙の短冊を、輪にしてつなげる。 ひとつ、ひとつ。 ホチキスで、留める。 「一番長く作れた人以外は、罰ゲーム」 別にそれが嫌なわけじゃないけれど、 僕は誰よりも、 長く、 ただ、長く、 急ぐあまり、手が震える。 誰にも、後れを取るわけにはいかない。 別に、本気で競争している人ばかりではないけれど、 一番でなければ、 この数人の中で、一番にならなければ。 誰にも、後れを取るわけには、いかないのだ。 僕の価値は、 手作業が、速いこと。 パソコンの入力でも、 チェック作業でも、 何かを作る作業でも、 僕が誇れるのは、手の速さ。それだけ。 やがて決められた時間が過ぎ、 自信はあるけれど、 緊張の瞬間。 僕の作ったものが、一番、長い。 よかった。 誰にも、後れを取るわけには、いかないもの。 僕以外のみんなに課せられた、罰ゲームは、 「1番だった、僕のよいところを、一つ挙げる」こと。 ひとつ、ひとつ、 読み上げられたそれは、 みんなの、僕への想い。 一番になろうと、必死になっていた僕。 一番になって、嬉しかったのは、 一番になったことより、 みんなの気持ちが、 僕へ向けられた心が、 とても、温かかったこと。 こんな僕に、 価値を、見出してくれている。 だけど、僕は、 僕は、
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