home (ジャック:24 ウェス:20)

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  「いい匂いだな」 「おはよ! エドにしちゃ珍しいな、寝過ごすなんて」 「そんな時間か? お前が珍しく早起きなだけだよ」 「俺はいつも早起きだぜ。ただベッドから離れないだけ」  知ってるさ。お前はあのぬくもりから出れないんだ、誰かに包まれてるような気がするんだろ? 「そういうのを朝寝坊って言うんだ」 「今日はエドの方が朝寝坊だからな」 そう言いながらジャック特製のベーコンエッグが出てくる。 「お前、バーガーもベーコンエッグ食うくせに、作るのもこれか?」 「愛があるんだよ、ベーコンエッグには」 「そうかそうか」 そう言いながらフォークで突つく。 「美味いか?」 今日は喋りたくてしょうがない子どもになっている。 「ああ、美味いな」 「やっぱりな! 俺もこれには自信があんだよ」 そう言って湯気の立っているベーコンに噛り付く。口を止めて俺を見た。 「エド」 「なんだ?」 「しょっぱかったろ」 「そうか?」 「我慢すんなよ」 「たまにはこういう濃いのも食いたいさ。一人でいると味の薄いもんばかり食っちまうからな」 「……サンキュ」 そう言うとジャックは俺の皿に手を伸ばしてきた。 「おい!」 「エドには長生きしてほしいからさ」 ベーコンを全部平らげてニヤッと笑ったジャックはいつもの顔だ。 「俺は何を食えばいいんだ?」 「シリアル」 立ち上がって皿とシリアルと牛乳を差し出した。 「すいぶん親切じゃないか」 「俺はいつだってエドには優しいぜ」  一心不乱に車の下に潜り込んで工具でガチャガチャとやっている。 「おい、本当に直る見込みあるのか?」 「知らねぇ」 「適当なヤツだな」 「でも直るかもしんねぇだろ? そういう不確定要素って、俺嫌いじゃないんだ」  そうだな。お前はいつも決められたことだけをやってきた。好きなだけ遊ぶんだ、ジャック。これはお前にとっちゃ子どもの遊びだ。してこなかった分、ガチャガチャ言わせていいんだぞ。 「そういえばさ」 車の下から声がする。 「ああ?」 「親父、来た?」 「いつ?」 「こないだ、エドが親父に銃つきつけた後」 「来るわけ無いだろう、あんな大喧嘩したんだから」 「そうか……」 ――おい、何があった!?  聞いてやりたいが、お前はそれを嫌がるだろう。  
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